『Kingdom: New Lands』は、2016年にリリースされた、独特の魅力を持つ2D横スクロールのストラテジーゲーム。
印象的なピクセルアートに魅了され、私も興味本位で本作に触れてみたところ、その驚愕の中毒性にはまり気づいたら40時間以上プレイ。エンディングまで到達出来たので、早速レビューすることとする。
静寂と中毒性に包まれた王国建設
ゲームの基本的な流れは、馬に乗った王(または女王)としてコインを集め、それを使って領地を拡張し、農民を雇用し、村を発展させるというものだ。しかし、夜になると謎のクリーチャーが襲撃してきて、プレイヤーの王冠を奪おうとする。王冠を失えばゲームオーバー。このシンプルなルールが緊張感とやりがいを生む。
プレイヤーは、昼間の間にコインを稼ぎ、村の防衛を整える必要がある。しかし、どのように資源を分配するかがゲームの肝であり、防御を強化するか、探索を進めるか、その選択が大きく結果を左右する。
本作ではプレイヤーは何も教えられず、孤独な王として広大な島に放り込まれる。手がかりとなる説明はほぼ皆無であり、何度も失敗しながら最適な方法を模索する過程で、ゲームの奥深さに気づき、やがて抜け出せない中毒性を感じることになる。
ミニマリズムと美しいビジュアル
『Kingdom: New Lands』の特徴的な魅力は、そのミニマリスティックなデザインにある。美しいピクセルアートで描かれる世界は、昼夜の移り変わりや天候の変化を緻密に表現しており、プレイヤーはその景色に見入ってしまう。背景に流れる静かな音楽や環境音も、プレイヤーを孤独な王国建設の旅に没入させる重要な要素だ。
ゲームはほとんど言葉で語られず、視覚的なヒントや経験によって学んでいく仕組みである。このアプローチは、ゲーム初心者には少し厳しく感じるかもしれないが、自分で答えを見つける楽しさを提供する。また、失敗を前提としたゲームデザインが、繰り返しプレイするモチベーションを高めている。
中毒性の高いゲームデザイン
本作のゲームシステムは、極限までシンプル化されているが、その背後には戦略性の高い設計が隠されている。プレイヤーの操作は、左右の移動とコインの使用のみであり、複雑なメニューや設定に煩わされることはない。しかし、このシンプルさがかえって奥深いプレイ体験を生んでおり、プレイヤーに強烈な中毒性を与えている。
コインの管理と使い道
コインは本作の中心的なリソースであり、プレイヤーはこれを使ってさまざまな行動を行う。農民を雇用したり、建物を建設したり、防衛を強化するのもコイン次第である。昼間にどれだけ効率的にコインを稼ぎ、防衛と発展にどのように配分するかが攻略のカギとなる。
昼夜のサイクル
ゲームは昼と夜のサイクルで進行する。昼間は探索やコインの収集、防衛の準備が可能だが、夜になるとクリーチャーの襲撃が始まる。この昼夜のリズムが緊張感を生み出し、昼間の限られた時間でいかに準備を整えるかが重要になる。
拠点の拡張
拠点は徐々に拡張することが可能で、城壁やタワー、農地などを設置することで防衛力と経済力を高められる。しかし、拡張を急ぎすぎると、防衛ラインが薄くなりクリーチャーの攻撃に耐えられなくなるリスクも伴う。拡張のタイミングとバランスが攻略のポイントだ。
船と島の移動
一定の準備が整うと、島を離れて新たな土地へ移動することができる。移動先では新しいチャレンジが待ち受けており、より高いレベルの戦略が求められる。各島には独自の地形や特徴があり、プレイヤーの計画性と柔軟性が試される。
クリーチャーとの攻防
夜間に登場するクリーチャーは、多様な種類が存在し、日が進むごとにその強さと数が増していく。防衛を固めるだけでなく、時にはリスクを冒して積極的に拠点を発展させる必要がある。このバランスを取る難しさがゲームの醍醐味である。
「学び」が生むリプレイ性
『Kingdom: New Lands』の面白さは、試行錯誤を通じてプレイヤー自身がシステムを理解していく過程にある。失敗するたびに次はどのように進めるべきかを考え、少しずつ攻略法を編み出していく。このプロセスが、中毒性の高いリプレイ性を生み出している。
続編『Kingdom: Two Crowns』への進化
『Kingdom: New Lands』はその独自性とシンプルな魅力で高い評価を受けたが、シリーズはその後進化を遂げている。続編『Kingdom: Two Crowns』では、協力プレイが追加され、複数のテーマや新要素が加わることで、より豊かな体験が可能となった。2人で一緒に王国を建設することで、戦略性とプレイの幅が広がり、さらに多くのプレイヤーに支持されている。
まとめ
『Kingdom: New Lands』は、シンプルでありながら奥深いゲームプレイと、美しいビジュアル、そしてプレイヤー自身が学び取るゲームデザインが光るタイトルである。最小限の説明から始まるこのゲームは、人によっては不親切に感じるかもしれないが、その分、自分で答えを見つける楽しさがある。
序盤は、あまりにも説明がなく難易度の高さに、投げ出しそうになるが、そこをなんとか切り抜けると、本作の奥深いゲーム性や面白さに気づきはじめる。そこまで行くと、強烈な”中毒性”に辞めることが出来ない自身に気づいているはずだ。
私も本作をプレイして、久しぶりに時を忘れて”ゲーム”をプレイした実感を感じることが出来た。まさしく本作は傑作の1本であり、静かな没入感と中毒性のあるサイクルを求めているプレイヤーには、ぜひ体験してほしい一本である。
本作は、昨今の”親切設計”とは真逆と言ってよいコンセプトのデザインになっている。冒頭からゲームの目的含め、ほとんど明確なルールも語られないため、開始早々に投げ出してしまう可能性がある。
「Kingdom: New Lands」はNintendo Switch、 Xbox One、 PlayStation 4、 Android、iOS、PCでプレイ可能だ!
厳選「タワーディフェンス」ゲーム 傑作3選! レトロな魅力が詰まったドット絵ゲーム特集!PS5・PS4・Nintendo Switchで楽しめるピクセルアートの世界プレイ時間:約40時間
プラットフォーム:PS4 on PS5
レビュータイミング:クリア後