「未解決事件は終わらせないといけないから」インディーノベルゲーム。ゲーム実況界隈をはじめ、ネット上でも非常に傑作であるとの評判を聞き、早速私もプレイ。なんとも言えない余韻に浸りながらクリアまで到達できたので早速レビューする。
新機軸の推理ノベルアドベンチャー
本作は、「記憶の断片」をつなぎ合わせて事件の真相に迫るノベルゲーム。退職した警察官・清崎蒼が主人公で、彼女が過去に解決できなかった「犀華ちゃん行方不明事件」の謎を解き明かす展開となっている。プレイヤーは清崎の記憶を辿りながら、事件に関わる人々の供述を集め、真実を探求していく。
一見すると、ファミコン当初のアドベンチャーゲームのオマージュしたようなビジュアルから、ポートピア連続殺人事件のようなマウスクリック型のサスペンスものを連想するが、ゲーム性は全く異なり、この手のジャンルとしては、非常に新機軸で斬新だ。
斬新なザッピングシステム
各キャラクターの「供述」の中に現れる特定のハッシュタグ付きの言葉を「ザッピング」することで、新たな供述や情報を解き明かしていく。この独特な探索方法により、プレイヤーは限られた言葉のリソースを使いながら、事件の真相に近づいていく。
また、供述された内容が必ずしもその人のものとは限らないため、プレイヤーは口調や事実関係から誰の発言かを推理する必要がある。
1つ1つのパズルがはまり、次第に全容が見えていくと一気に没入度が高まっていく。ストーリーの進行に応じて音が追加されるBGMも、緊迫感を演出し、プレイヤーを物語に引き込んでいく。
難度の高い読解の果てに辿り着くカタルシス
このゲームは推理ゲームとして非常に密度の濃い体験が用意されている一方で、そのゲーム性ゆえに、「情報」が断片的に提示されるため、全体像を把握するまでには時間がかかる可能性がある。
本作をしっかり楽しむには、登場人物が発する「供述」に含まれる繊細な表現の機微を読み解く国語力、情景想像力などが求められる。この難解で混乱しながらも、推理していくプロセス自体が、本作の醍醐味であり、ぜひあきらめずに進めてほしい。
ゲーム中盤くらいには、全容が見え始め、終盤ごろには、多くのプレイヤーが、物語のカタルシスとともに、エンディングに辿り着くだろう。
推理ゲームファンはマストプレイの新たな名作
私自身は、物語の全容把握の理解に時間を要したので、5時間程度かけてクリアするに至ったが、多くの方は3時間程度でエンディングまで迎えており、AAA級タイトルの合間にプレイするにも丁度よいボリューム感だ。
総じて、「未解決事件は終わらせないといけないから」は、推理ゲームのファンにとっては見逃せない作品であり、物語を追う楽しさと推理の快感を存分に味わえるゲームだ。
本作は、「パラノマサイト FILE23 本所七不思議」と同様、近年のアドベンチャーの傑作の1つとしておすすめ!また、じっくりと推理しながら、シナリオ全体を読み解いていくゲーム性から、「十三機兵防衛圏」が好きな方にもおすすめ!
プレイ時間:約5時間
プラットフォーム:Steam
レビュータイミング:クリア後