2020年6月の発表以来、「猫」の可愛らしいビジュアルのゲームで、Twitterのトレンドに飛び込むほど大きな話題のあった「Stray」。ついにPS5/PS4向けにリリース。発売されるや評判も高く、個人的にも興味をもっていたので早速プレイし、クリアまで到達できたのでレビュー。
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唯一無二の「猫」のアドベンチャー
トレイラーの通り本作は、猫を主人公とたTPS視点のアドベンチャーゲームである。
正直なところ、本作は可愛い猫を愛でながら、町中を駆け回る癒しゲー、雰囲気ゲーのような先入観をもっていたが、ゲームを初めて30分ほど経ったあたりから、本作が単なるライトな癒しゲーではないことがわかる。
本作は実は、かわいい見た目とは裏腹に、非常に奥深いシナリオ、世界観を持ち合わせた、重厚なアドベンチャーゲームなのだ。一匹の野良猫が家族からはぐれ、人間のようなロボットたちが暮らす不思議な地下世界に迷い込むところから物語は始まる。
サイバーパンクの世界観を最大限に表現
本作の売りである「猫」はゲーム史上最高レベルに作り込まれており、そのビジュアル、仕草まで非常にリアル志向で、猫好きには、これだけで顔が緩んでしまうことだろう。
爪を研いだり、足元に擦り寄ったり、直接ゲーム性に関わるものではない仕草も丁寧に盛り込まれており、開発者がいかに猫が好きかが伝わってくる。
もちろん猫だけでなく、その舞台となる街並みも、AAA級の作品と肩を並べるほどに細部にわたってしっかりと作り込まれており、ゲーム後半に登場するサイバーパンクあふれるネオン街は、思わず足を止めるほどだった。
確かにそこに存在していそうな説得力のある街並み。路地裏の壁の落書きや張り紙1つとっても、意味があり考察や想像しがいのある世界観に仕上がっている。
ゲーム性は平凡
本作は、基本的に猫を操作してキーアイテムを探す探索要素と、敵から逃げたり隠れたりするアクション・ステルス要素、そしてロボットとの会話やコンタクトによるアドベンチャ要素で成り立っている。登ったり歩ける場所は限定されており、落下して落ちるようなことはない。ほとんどの場所に行くことはできるが、このあたりの制約は気にする人もいるだろう。また、縦方向への移動が多く、視野の問題から3D酔いしやすい印象を受けた。
よって、ゲーム性自体は、特に目新しいものではなく、本ゲームならではの新しい遊びというものはない印象である。あくまでも、世界観を楽しみ、限られた情報から考察を楽しむゲームであるといってもよいだろう。
コンパクトながら満足のいく読了感
クリアまで数十時間にも及ぶゲームが溢れている中、本作は5~8時間程度でクリアできる非常にコンパクトなボリュームに仕上がっている。
ボリュームが足りないのかというとそうではなく、濃密な体験が適切なプレイ時間の中で詰まっており、最後まで息切れすることなく、心地よい読了感を以て終えることが出来た。
プレイ時間:約5時間
プラットフォーム:PS5
レビュータイミング:クリア後