サメが主人公の異色のオープンワールドゲーム「Maneater」。2020年にその独自の世界観から、話題になった作品だが、この度、PS5版をプレイすることが出来たためレビュー。
ネタゲーを超える本格的オープンワールド
本作は、一見するとサメを主人公にした一発屋のバカゲームのような見た目であるが、実際にプレイすると、単なるネタゲーに終わらない人間VSサメの攻防を描いた本格的なオープンワールドに仕上がっている。
ストーリとしては、母親を殺され、その母体から奇跡的に逃げ出したオオメジロザメと、母親サメを殺した人間との闘いの物語となっている。ゲームとしては、生まれて間もないサメの赤ちゃんの状態から始まり、様々なミッションをこなす中で、大人のサメに成長し、復讐を目指す。グラフィックもインディゲームとは思えないほど美しく、海底や海面が生き生きと描かれており、最高の第一印象だ。
ゲーム内容としては、主人公のサメが、復讐を果たすべく、人間やほかの魚をひたすらに喰っていったり、海洋に散りばめられたアイテムを集めては、レベルを上げていくというシンプルなものとなっている。能力強化などの成長要素もあり、ゲームを進めていくとともに、圧倒的な破壊力で人間や船を襲うのは快感である。
社会風刺とウイットに富んだ、途中のナレーションがよいアクセントになっており、とにかく本作は心を無にして、がむしゃらに人や魚を襲いまくる楽しいゲームだ。
蛇足ではあるが、本作は日本語化されているが、誤訳が割と散見される。しかし、個人的にはそれがまたこの良い意味での笑えるチープ感につながっており、好印象に感じた。
ゲームとしては奥行き不足
非常に印象のよいゲームである一方で、ゲームとしては、奥行き不足で、2時間程プレイすると、ゲームの遊びのバリエーションの少なさに気づき始める。
結局のところやることはアイテム集めと、魚や人間を何匹倒せというようなお使いミッションの連続になっていく。ストーリを進めるためには、それなりにこの作業を繰り返す必要があるうえ、自身のレベルが上がると後半は無双状態になってしまい、それがなおさら作業感が増強している点は残念であった。もう少し敵の攻撃のバリエーションや、ミッションの種類を増やしたり、ゲームのレベルデザインを工夫し、飽きのこない設計であればよかったと思う。
それでもゲーム自体のボリュームが7、8時間程度でクリアまで到達できるため、多くの方はギリギリ飽きる前にエンディングを迎えるだろう。
もう1点、せっかくのサメという珍しい題材なので、ストーリをもう一歩丁寧に描いてくれたら、より印象が深まったことと思われる。ストーリ部分が非常にあっさりしていたので、この点は個人的には残念に感じた。
本作の追加DLC「Truth Quest」が2021年夏にリリース済。本編が楽しかった人は、チェックしてみるとよい。ただし、本編クリアしていないと、追加DLCがプレイできない条件がある模様なので要注意。
プレイ時間:約8時間
プラットフォーム:PS5
レビュータイミング:クリア後