「ゼノブレイドDE(Xenoblade Definitive Edition)」評価・レビュー

ゼノブレイドDE

あの名作「ゼノブレイド」の完全リメイク版「ゼノブレイドDE(Xenoblade Definitive Edition)」がNintendo Switchで登場。「王道JRPG」の代表作の1つとして名高い「ゼノブレイド」は元々2010年にWiiで発売された作品である。

私自身は、原作は未プレイであったが、2017年にNintendo Switchでその続編である「ゼノブレイド2」が発売され、評判の良さから個人的に気になっていたシリーズである。この度、タイミングよく1作目のリメイクが発売され、早速プレイできたのでレビューする。

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美しく蘇ったJRPGリメイク

昨今、バイオハザードRE2や、FF7リメイクなどに代表されるように、過去の名作のリメイク作品が増えてきているが、本作もその流れにそって、非常に高品質なリメイクに仕上がっていると感じた。単純にグラフィックや見栄えをよくしたというレベルに留まらず、キャラクターの顔のモデリングの変更や画面UI、ゲームバランス、シナリオの追加といった、昨今求められるリメイクの水準を満たしており、完全版ゼノブレイドといったところである。

王道JRPGの面目躍如

雄大な世界観

本作では、主人公シュルクを中心に、さまざまな種族の仲間たちとの出会いや別れをもとに友情や絆を描く、王道JRPG好きにはたまらない作品である。世界観としては、とてつもなく大きな巨人(ゲーム中、機神や巨神と呼ばれる)の上(具体的には、足や腰や背中など)で、豆粒ほどのサイズの主人公たちが物語を進めていくという独創的な世界観になっている。フィールドもセミオープンワールドになっており、広大かつバリエーション豊富で、仲間と冒険をしている感覚を強く味わうことができる。

今回、WiiからNintendo Switchになったことで、遠くの景色の解像度も上がっており、はるか遠くに霞んで見える巨人の体の一部を眺めるというのも楽しみの一つである。

また、RPGにおいて、音楽も重要な要素だが、本作は原作のオリジナルも収録しつつ、リメイク版としてオーケストラアレンジが施されている。ゼノブレイドの音楽自体がもともと高い評価を得ているものであるため、今更説明不要であると思うが、草原をひた走るシーンの音楽などは個人的に耳に残った。

さらには、本編クリアだけでも約60時間程度のボリュームを誇り、飽きさせないシナリオ展開もお墨付きである。

クセのある奥深い戦闘システム

本作では戦闘システムが、ドラクエやFFなどのJRPGとは趣向の異なる作りになっている。ゲーム序盤から様々な戦闘システムを覚えていく必要があるが、覚えてしまうと一気に本作の戦闘の面白さに没頭できるはずである。

覚えることの多い戦闘システム

本作は、一見するとアクションRPGのような様相であるが、少し普通のアクションRPGとは違っている。初めてプレイすると戸惑うと思うが、基本的に戦闘は「オート」で進行する。主人公含め3人パーティでの戦闘だが、指示コマンドを出していくスタイルである。FF7リメイクのような、ボタンを連打して剣を切り刻むというタイプの戦闘ではないので、最初は戸惑うかもしれない。

また、戦闘システムは、アークやビジョン(予知)、絆システムなど、非常に覚えることが多く、やっと覚えたと思ったら新しいルールや新要素が登場し、プレイして数時間はこの連続に少し疲れが出るかもしれない。しかし、じっくり焦らずプレイし、覚えてしまうと一気に面白くなってくる。

気になるレベルデザイン

本作では、いわゆる「経験値稼ぎ」「レベリング」と言われるようなレベル上げをしないと進めなくなく局面が存在する。ボスも結構強敵が多く、レベルが低いとまず勝つことはできない。そのため、ザコ敵を何度も倒しレベルを上げる時間が必要になる。ここは評価の分かれるところであると思うが、クリアまで膨大なゲーム時間が必要なRPGにおいて、もう少しテンポよく進められるレベルデザインになっていればよかったのでは無いかと感じた。

私は、レベリング中は、用意された「カジュアルモード」に切り替え、戦闘難易度を下げてサクサク経験値稼ぎを行い、ボス戦などで、通常モードに戻してプレイする方法で遊んでみた。これを利用することで、レベリングのストレスは軽減される。

膨大なサブクエスト

本作は、メインストーリだけでもとてつもないボリュームを誇るが、サブクエストの数も数えきれないほど用意されている。しかし、残念ながらこのサブクエストは、それほど褒められたものではない。「あの敵をX匹倒してきて」「あの素材を集めてきて」といった、ストーリもクソもないお使いミッションの山である。お金集めや経験値稼ぎのツールとしてこのサブクエストを利用するという感じで捉えるのがよいのだろう。

もっとも、ただでさえ濃密なメインストーリなので、サブクエストのストーリまで凝ったものになっていたとしたら、それはそれで食傷気味になりそうなので、個人的には今のままでよい気もする。

追加ストーリ「つながる未来」

追加ストーリ「つながる

本作では、原作からの追加要素として、新しいストーリが追加されている。本編をクリアしていなくても、プレイすることが可能だ。シナリオの時系列的には、本編クリア後になっているので、できれば本編クリア後にプレイするのがよい。

基本的なゲームシステムは同じであるが、本編にあった予知能力の要素などはなくなっており、本編からの登場キャラクタは、主人公シュルクとメリアのみ。個人的には、本編に登場したキャラクタがもっとたくさん登場し、後日談的なシナリオを予想していたが、シンプルなつくりとなっている印象。

私自身は、クリアまで楽しんだが、おおよそ10時間程度でエンディングまで到達。追加コンテンツとしては適切なボリュームといえよう。ストーリ含めて、全体的に及第点といったところだが、本編がすさまじいボリュームと内容であることからこれ以上求めるのは蛇足だ。本編の興奮の余韻を感じながら楽しむとよいだろう。

ゼノブレイドDE
ゼノブレイドDE(Xenoblade Definitive Edition)
プレイ時期:2020年7月
プレイ時間:約80時間 その内、追加ストーリ約10時間
プラットフォーム:Nintendo Switch
レビュータイミング:本編、追加ストーリ クリア後
シナリオ
グラフィック
戦闘
音楽
リプレイ性
良いところ
王道JRPGを満喫できる
美しいリメイク
使い勝手の良いカジュアルモード
気になるところ
戦闘システムがやや難解
「お使い」サブクエストの山
レベリングが面倒
3.9