幕末を舞台にした龍が如くのスピンオフ「龍が如く 維新!極」。私自身、龍が如くシリーズの大ファンで、主要なタイトルはクリア済だが、こちらのスピンオフ作品は、未プレイ。この度、ようやくプレイしクリアまで到達できたので早速レビュー。
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幕末という舞台に再び挑むリメイク
「龍が如く 維新!極」は、2014年に発売された『龍が如く 維新!』をUnreal Engineでリメイクした作品である。シリーズ本編の俳優陣を幕末のキャラクターにキャスティングするというユニークな試みはそのままに、グラフィックとシステムを刷新し、現行機にふさわしい完成度を実現している。
ストーリーの濃厚さ

物語の中心は坂本龍馬――ただし、主人公はあくまで桐生一馬の姿を借りた龍馬である。京を舞台に、新選組との確執や幕末の動乱を背景にした人間ドラマが展開される。史実をなぞりつつも大胆にアレンジされたストーリーは、時代劇としても娯楽作品としても成立しており、プレイヤーを一気に引き込む。
シリーズのファンならお馴染みの顔ぶれが土方歳三や沖田総司として登場することで、キャラクターへの没入感は一層強まっている。
バトルシステムの妙

本作の戦闘は「一刀」「格闘」などの4つのスタイルを切り替えて戦うことができる。それぞれに個性が際立っており、場面に応じた使い分けが重要となる。特に「乱舞」はスピード感と派手さに優れ、戦場を縦横無尽に駆け回る爽快感を味わえる。ただし敵の攻撃が苛烈な場面ではスタイルの選択を誤ると一気に窮地に立たされるため、緊張感のある戦闘が続く。
サイドクエストの中毒性

「龍が如く」シリーズの代名詞ともいえるサブコンテンツの豊富さは本作でも健在である。闘鶏、釣り、賭場、歌舞練場でのミニゲームなど、寄り道要素は膨大であり、メインストーリーを忘れて没頭してしまう危険すらある。中でも農業システム「別邸」は、作物を育てて料理や資金に繋げる生活要素として秀逸で、戦いと日常のメリハリを演出している。
グラフィックと演出

リメイクにあたりUnreal Engineが採用され、質感や光源処理は大幅に向上した。人物の表情もよりリアルになり、シリアスな場面での迫力は原作を凌駕している。一方で、やや古さを残したモーションやイベント演出にはリメイクの限界も見える。しかし全体としては、時代劇の空気感を現代的にアップデートすることに成功している。
「極」シリーズとしては及第点

「極」の名を冠した以上、単なる移植以上の進化を求めたプレイヤーも多い。確かにビジュアルは向上したが、新規要素は控えめであり、シナリオや演出の大胆な刷新は行われていない。
サブストーリーもほぼ当時のままで、シリーズ最新作に慣れたユーザーにとっては驚きが薄い。また一部の戦闘はバランス調整が甘く、爽快感より作業感を先に覚える場面もある。技術的刷新は評価できるものの、「極」ブランドに期待される“再構築”と呼ぶには不足しているのも事実である。
まとめ
「龍が如く 維新!極」は、幕末という題材をエンターテインメントに昇華した異色作である。史実の重厚さと「龍が如く」的な荒唐無稽さが絶妙に融合し、唯一無二の体験をもたらす。特に新規プレイヤーにとっても十分に楽しめる完成度である。
しかし「極」としての再定義や新鮮さを期待した場合、やや肩透かしを覚える点も否めない。総じて、良作でありながらもファンの期待を完全には満たし切れない、そんな位置付けの作品である。



「龍が如く3」のリメイク版、『龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties』が2026年2月12日(木)にリリースされることも発表!
プレイ時間:約28時間
プラットフォーム:PS5 Pro
レビュータイミング:クリア後