「CRISIS CORE –FINAL FANTASY VII– REUNION | クライシス コア -ファイナルファンタジーVII- リユニオン」評価・レビュー

『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII- リユニオン』(以下、CCFF7リユニオン)は、PSP向けに2007年に発売された『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』のフルリマスター作品である。

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蘇るザックスの色褪せることの無い前日譚

『CRISIS CORE –FINAL FANTASY VII– REUNION』アナウンスメント トレーラー

本作は、1997年にリリースされた『ファイナルファンタジーVII』の前日譚を描き、FF7の世界観をより深く掘り下げる役割を持っている。リマスター版として、グラフィック、音声、システムが大幅にアップデートされ、最新ハード向けに生まれ変わった。

グラフィックとビジュアルの進化

まず最初に注目すべきは、グラフィックの進化である。オリジナルのPSP版は、その制約上、キャラクターや背景が簡素に描かれていたが、リユニオン版ではPS4やPS5、Nintendo Switchといった最新のプラットフォーム向けに、ハイクオリティなビジュアルが実現されている。

リメイク版FF7で採用されたアセットやデザインが反映されており、クラウドやザックスといったキャラクターが現代の技術で美麗に描かれている点は非常に高評価だ。特に、ザックスの顔つきや表情の細かさは、より感情が伝わるようになっており、物語の重厚さを増幅させている。

戦闘システムの改良

オリジナル版の戦闘システムは、アクションRPGとして独自の「D.M.W.(Digital Mind Wave)」システムが特徴的だったが、リユニオンではそのシステムがさらに洗練され、よりスムーズな戦闘が楽しめるようになっている。

D.M.W.はスロット式で、バトル中に特定の効果が発動する要素だが、これがよりテンポよく、アクションの流れを損なわない形で導入されている。戦闘はシームレスでスピーディに進行し、プレイヤーは爽快感を味わえる。

特に、敵との戦闘では、操作性が非常に向上している。オリジナル版ではPSPの限られたボタン操作で苦労することもあったが、今作では複数のボタンによる直感的なアクションが可能で、回避やカウンターなどがスムーズに行えるようになっている。

ストーリーの再評価

本作のストーリーは、ザックス・フェアというキャラクターを中心に描かれる。ザックスはFF7で重要な役割を果たすクラウドの先輩であり、彼の成長とともにソルジャーとしての葛藤や運命が描かれる。ザックスの物語は、FF7ファンにとって重要な位置を占めるだけでなく、シリーズの世界観をさらに深める要素となっている。

特に、エアリスとの関係や、彼が「英雄」として憧れたセフィロスとの出会いが深く描かれる点は、FF7をプレイしたファンにとって感動的である。ザックスとクラウドの友情や、彼らがたどる運命は、FF7本編への強力な伏線となっており、本作をプレイすることでより一層FF7の物語を楽しめる。

FF7リメイクとの関連

『クライシス コア -FF7- リユニオン』と、2020年に発売された『ファイナルファンタジーVII リメイク』との関連性も無視できない。FF7リメイクが分割構成であり、クラウドたちの物語がまだ完結していない中、本作をプレイすることでFF7リメイクの背景をより理解しやすくなる。

特に、ザックスが果たす役割は、リメイクのストーリー展開で重要な鍵となる可能性がある。リメイクのエンディングでザックスが登場するシーンがあるため、今後の展開を予測する上で、CCFF7リユニオンは必見のタイトルとなる。

FF7リメイクでは一部のシーンやキャラクター設定が再解釈されており、ザックスの存在がどのように物語に関わってくるかは非常に興味深い点だ。今後の続編でザックスがどのように扱われるのかを知るためにも、本作をプレイしておくことで、FF7リメイクの世界観にさらに没入できるだろう。

リマスターによる進化と制約

『CCFF7リユニオン』はグラフィックや操作性など、多くの面でリマスターされており、特にビジュアル面では大きな進化を遂げている。しかし、サブクエストや一部のシステムの設計自体が2007年のオリジナルからほぼ変わっていないため、今の基準で見ると古臭さが感じられる部分がある。

例えば、現代のRPGではサブクエストにより多くの物語性やキャラクターの掘り下げが期待されるが、本作のサブクエストはそれほど深みがなく、単なる「戦闘の場」としての役割が強い。ファンにとっては、過去の作品を懐かしむという点でこれらの要素に寛容であるかもしれないが、新しいプレイヤーには少し物足りなく感じられるだろう。

まとめ

『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII- リユニオン』は、原作の魅力を損なわずに最新技術で蘇らせたリマスター作品である。グラフィックの向上や操作性の改善により、オリジナル版を未プレイの新規ファンでも快適に楽しむことができる一方で、FF7リメイクファンにとっても物語を補完する重要な作品だ。

また、ザックスというキャラクターの深みが再認識され、FF7全体の物語がより重厚に感じられる。本作をプレイすることで、FF7シリーズにおけるザックスの重要性や彼の影響力をより深く理解することができるだろう。

一方で、『CCFF7リユニオン』はビジュアルや操作性の進化が目を引く一方で、古い設計思想がそのまま残っている部分も多く、特にサブクエストの単調さが気になる点である。ファンにとっては懐かしさを楽しむ要素となり得るが、新規プレイヤーには退屈に感じられる可能性があるため、これを理解した上で楽しむことが重要だ。

本作をプレイすることで、本編の「FF7 リメイク」をプレイした際の理解や、感じ方も一味違ったものとなる。

「ファイナルファンタジー7 リバース | Final Fantasy VII Rebirth」評価・レビュー FINAL FANTASY VII REMAKE 「FINAL FANTASY VII REMAKE | INTERGRADE」評価・レビュー

プレイ時期:2024年3月
プレイ時間:約20時間
プラットフォーム:PS5
レビュータイミング:クリア後
シナリオ
グラフィック
音楽
新規性
やり込み度
Reader Rating0 Votes
良いところ
心に残るシナリオ
刷新されたグラフィック
気になるところ
古いゲームシステム
作業的で単調なサブクエスト
3.9
CRISIS CORE –FINAL FANTASY VII– REUNION