プラットフォーマーアクションの傑作「Limbo」、「Inside」を生み出したゲームスタジオが贈る新作「COCOON」。今回の作品は、過去作のような2Dアクションではなく、見下ろし型の3Dパズルアドベンチャー。2Dプラットフォーマーを期待していたので、トレイラーを観た時は、少々不安を感じたが、過去作品の偉業から、本作についても、ぜひプレイしてみたいと思っていた。この度、ようやく本作を最後までプレイできたのでレビューする。
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新感覚パズルアドベンチャー
考察が捗る舞台設定
主人公はカマキリのような虫の姿をした生き物。唐突に、砂漠の世界から始まり、宇宙の旅に出る。その旅の途中、別の世界を内包している謎の球体「オーブ」に出会う。
「Limbo」、「Inside」のように、本作においても、ストーリーは、一切の言葉を使わずに展開されていく。主人公の虫の生き物は、なぜ宇宙の旅に出たのか、オーブとは何なのか、どこへ向かっているのか、といった謎の多くはプレイヤーの想像に委ねられている。
オーブの中の世界にある異星の遺跡や、オーブの外の世界にあるエイリアンのテクノロジーなどが、背景を暗示しており、考察好きの方も楽しめるだろう。
圧倒的独創性を備えたパズルシステム
本作の最大の特徴は、「オーブ」を使ったパズル要素だ。オーブは、それぞれ異なる世界を内包しており、その世界に入ったり出たりすることができる。
この異世界の行き来が、新感覚で、次第にプレイヤーの頭を混乱させていく。また、オーブの中の世界は、オーブの外の世界に影響を与えることが出来る。例えば、オーブの中の世界にあるスイッチを押すと、オーブの外の世界にあるプラットフォームが動くといった具合だ。オーブの中と外の世界をうまく使い分けて、パズルを解いていく必要がある。
さらに、オーブにはそれぞれ特殊な能力があり、オーブの能力を使うことで、見えなかった道が見えたり、物質の状態に変化を与えることができる。オーブの能力を駆使して、さらに複雑なパズルを解いていく。
このオーブを使ったパズルシステムは、非常に独創的、かつインテリジェンスで、同じアイデアを使い回すことなく、常に新しいパズルが登場し、まったくダレることなく最後まで楽しむことができた。難易度も、徐々に上がっていくが、極めて完璧なレベルデザインになっており、パズルを解くときの快感は、言葉では表せない。
途中、何度かボス敵との闘いも用意されており、これもまたパズルの箸休め的な形で、程よい緊張感があって楽しめる。もちろん死んでも特段のペナルティはないので、ストレスフリーだ。
2023年の傑作インディーゲーム
本作は、2023年の傑作ゲームのひとつだろう。「オーブ」を使ったパズルシステムは、他に類を見ないほど斬新。「Limbo」、「Inside」のファンやパズルゲームが好きな方はもちろん、SFやアドベンチャーが好きな方にも刺さる本作。
クリアまでの時間も7,8時間程度で非常に遊びやすい。ぜひ「COCOON」の世界に飛び込んでみることをお勧めする。
プレイ時間:約7時間
プラットフォーム:PS5
レビュータイミング:クリア後