「Station to Station(ステーション・トゥ・ステーション)」評価・レビュー

ボクセルアートで描かれた牧歌的で愛らしく、エモいビジュアル。そのトレーラを一目見た時から、たちまち一目ぼれし、リリース日当日からプレイした本作。この度、クリアまで到達できたのでレビューする。

ボクセルアート鉄道敷設パズル

Station to Station – Official Launch Trailer

本作の最大の魅力は、やはりそのビジュアルだろう。温かみのあるボクセルアートで、汽車や建物、街といったオブジェクトが美しく色彩豊かに表現されている。草木や水面が風に揺れ、よく見ると動物も動いており、カメラを近づけると、しっかりとその鳴き声や生活音が聞こえてくる。ゲームの手を休め、この箱庭の風景を見ているだけで癒されてくる。

プレイヤーは、駅を配置して路線をつなぎ、地域を活性化させていくが、駅と駅がつながることによって、色あせたマップが、音楽とともに鮮やかに色づいていく演出は感動を覚える。砂漠や雪山等、いろいろなロケーションの地域が用意されており、飽きがこない。

ゲームとしては、非常にシンプルだ。手持ち資金の中で、線路を引いたり、橋を作ることで駅と駅をつなげていくが、資金を節約するための最短・最適なルートを考えたり、「安価な橋(橋の建設コストを削減する)」といった様々なお助けカードが用意されているので、それらを駆使して、駅や工場、街を繋げ、与えられた目標にチャレンジしていくことになる。

ただ難易度も低めに設定されているので、クリアを目指すだけであれば、10時間~15時間程度でクリアできるだろう。

プレイした所感として、「鉄道経営シミュレーション」というよりは、むしろ「パズル」的な色合いが強いと感じた。このあたりは好みが分かれるところかもしれない。

資金は線路をつないだときに得られるだけで、運行や収益などの経営要素はない。また、地域の特性によるパズルの違いもほとんどなく、同じような体験に終始しているのでゲームとしての奥深さはやや物足りない。

戦略的にハイスコアを目指してもよいし、目標を忘れて、自由気ままに線路を敷設するのも一興。多少不格好な線路の引き方をしても、それはそれで味わい深いものだ。

本作は、厳格な資金管理を楽しむゲームというよりは、お酒でも飲みながら穏やかで絵本のような鉄道世界に浸る。そんな心癒される稀有なゲームだと言える。

Station to Station
プレイ時期:2023年10月
プレイ時間:約13時間
プラットフォーム:PC(steam)
レビュータイミング:クリア後 
シナリオ
グラフィック
音楽
新規性
やり込み度
良いところ
美しいボクセルアート
シンプルなゲーム性
気になるところ
奥深さに欠ける
鉄道経営シムというよりは、パズルゲーム
3.8