「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」評価・レビュー

「Until Dawn(アンティル ドーン)」や「The Dark Pictures 」シリーズを開発したことでも有名なSupermassive Games。その最新作「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」が2022年6月にリリース。このスタジオの作品はほぼ全作プレイ済で、今回も期待せずにはいられない。この度、ようやくプレーしクリアまで到達出来たのでレビューする。

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王道のB級ホラーアドベンチャー

The Quarry | Official Accolades Trailer | 2K

本作は、冒頭でも述べた通り「Until Dawn(アンティル ドーン)」と同じく、複数の男女が登場。物語を進めていく中で、様々な分岐をプレイヤーの判断で選択しエンディングを目指す。いわゆるアドベンチャーゲームだ。当然、選択によって、展開に変化が起こり、最終的に様々なエンディングが用意されている

本作のストーリでは、9人の男女が、キャンプ最終日に最後のパーティーを計画するところから始まる。楽しい男女の思い出作りを楽しもうとする最中、キャンプ場にえも言わぬ不穏な気配が。森の奥から聞こえる奇声。正気を失う仲間。B級キャンプホラーの要素が満載である。

表現力

本シリーズを特徴づけるのは、その美麗なグラフィックだ。特に登場人物の表情は、まるで実写にも肉薄するリアリティで、ライティングの演出と相まって、微妙な心理的変化や緊張感を画面越しに伝えることに一役買っている。今回はPS5でプレイしたが、本シリーズの中でも、ひと際表現力に磨きがかかっている印象だ。

ただ、登場人物が、死に直面するとてつもない悲劇に見舞われているにも関わらず、次の場面では血まみれにもかかわらず、ジョークを交わしていたり、平然としている点も個人的には気になった。これが、演出上意図されているものなのか、単なる翻訳時の温度感のズレなのか、そこまでは分からない。

ユーザビリティ

本作も、会話の選択のほか、随所にQTEシステムが採用されている。ただし、この手のゲームにありがちな複雑なQTE操作自体は抑えられており、非常に好印象だ。

また、本作ではQTEや会話の選択など、一切のプレイヤーの操作を省略し、まさに映画のように観覧して楽しむモードも用意されている。物語だけを楽しみたいというプレイヤーにとっては非常に便利な機能で、非常にユーザフレンドリー。今後もぜひ採用してほしいと感じた。

ローカライズ

本作は、フルボイスで非常に丁寧で素晴らしい吹替がなされているが、場面によって、ややぎこちないセリフ・日本語訳があった点が気になった。ただ、文脈上は特に問題ないので意味が分からないようなことはない。

途中の選択肢による物語分岐が非常にシビアで、脈絡が読み取れず、初見殺しの色合いが強い点も気になったが、全体として、楽しめるアドベンチャーに纏まっている。夏の季節にぴったりの作品である。

クアリー ~悪夢のサマーキャンプ
プレイ時期:2023年3月
プレイ時間:約10時間
プラットフォーム:PS5
レビュータイミング:クリア後 
面白さ
シナリオ
グラフィック
音楽
リプレイ性
良いところ
圧倒的な映像美
王道ホラーアドベンチャー
気になるところ
やや不自然なローカライズ
脈絡が分かりにくい分岐条件
3.8