誰しもが一度は教祖に憧れ、人民を支配したいと思ったことがあるかもしれない。そんな教団の教祖になるという夢を叶えてくれる「Cult of the Lamb 」。
2022年夏にインディーゲームとして登場しゲーマー界隈で話題に。クリアまで到達したので、本作の魅力や面白さ、気になるポイントについて確認していきたい。
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カルト教団育成という唯一無二の世界観
本作は、そのタイトルの通りLamb(羊)がCult(教祖)を運営する非常に珍しい世界観で、邪教徒を打倒するためにダンジョンに潜っていく ローグライク・アクションパートと、自らの教団を育成していく教団運営パートで構成されている。
また、一見近づきがたいテーマのゲームではあるが、登場するキャラクターが、可愛らしい動物で表現されており、ゲーム全体のアート含めて細部まで魅力的な作りになっている。
思わず手に取ってプレイしてみたくなる、そんな世界観だ。
忙しすぎる教祖
カルト教団を運営するのは、非常に大変だ。やることが多すぎる。
プレイヤーである羊は、集めてきた信者の空腹度、衛生度、そして信仰度に常に気を使いながら、拠点のホスピタリティを高めていかなければならない。信者のためのお金や食糧、材料を集め、寝床を用意し、さらには信者の糞便も始末していく。さもなくば、離反者が現れ、悪い噂を流し始め、他の信者の信仰心を下げるなど悪影響を及ぼしてしまう。
信者もしっかり歳を重ね、やがては亡くなってしまう。その時は、お墓を作って埋葬したり、肉にして食べてしまうこともできる。
ゲーム当初は忙しかった教団運営パートも、中盤以降、ある程度信者にタスクを任せることが出来るようになると、ようやく教祖も楽になる。しかし、このころになると教団運営自体が変化に乏しくなり、やることも少なくなっていく。
このあたりの大味なゲームバランスは若干気になったポイントである。
ローグライク・アクション
本作のもう1つの顔が、見下ろし方のアクションパートである。
昨今人気になっているローグライクシステムとなっており、ダンジョンに入る度に、ダンジョンの構成や、初期装備、道中に登場するアイテムが変化していく。
ダンジョンで入手した素材やお金はそのまま教団運営に活用することが出来る。
アクションの難易度は、そこそこ高く、特にゲーム序盤は、体力も武器の攻撃力も低い。ダンジョン道中の回復アイテムも多くはないことから、激しい弾幕攻撃や唐突な遠距離攻撃に注意しつつ、丁寧に進めていく必要がある。
途中でゲームオーバになると、ダンジョン外に出されてしまうが、入手したアイテムをすべて喪失するわけではない点も、最近のローグライクのトレンドと言える。
ダンジョン一周にかかる時間は10分~15分程度。
ボス戦もあと少しでクリア出来そうというギリギリの難易度になっており、思わず止め時を失ってしまう絶妙なバランスに仕上がっている。
後継作に発展の期待あり
本作は、冒頭の通り教団運営という非常にレアな世界観のゲームであり、アート、ゲームシステム、バランス、それぞれが高い品質で纏まっていると言える。
一方で、ゲーム中盤以降、プレイヤー側の優位になると、難易度が下がり、やることが少なくなってしまうバランスが気になった。
建築物の隣接効果にもっとバリエーションがあってもよいし、ゲーム後半も、もっとヒリヒリと緊張感を感じるイベントがあるとよいと感じた。
ただ、仮に本作の後継作品が出るときには、本作の欠点を補って余りある、さらに深みのある傑作が生まれる予感がしてならない。それほどに本作はエポックで魅力的な作品と言える。
プレイ時間:約15時間
プラットフォーム:PS5
レビュータイミング:クリア後