「Somerville | サマービル」評価・レビュー

『Somerville』は、『INSIDE』や『Limbo』の開発に関わったDino Pattiが率いるスタジオJumpshipが手がけたアドベンチャーゲームである。INSIDE、Limboの大ファンでもあるにも関わらず、最近になってようやく本作の存在を知り、ようやくプレイ。無事にクリアまで到達出来たので、早速レビューする。

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静謐な絶望と再生を描くインタラクティブ・アドベンチャー

Somerville E3 2021 Trailer

本作にはセリフもテキストも存在しない。プレイヤーは映し出される情景とキャラクターの動きだけを手がかりに、ストーリーを読み取っていく。世界は侵略者によって破壊され、主人公は家族と離れ離れになりながらも再会を目指して歩き続ける。
物語の解釈はすべてプレイヤーに委ねられており、時に分かりにくく感じる場面もあるが、それすらも作品の一部として受け止めたい。

ビジュアルの力で描かれる世界

『Somerville』のグラフィックは、リアルさを追求しているわけではない。しかし、光と影を巧みに使った表現により、荒廃した都市や静かな森、異様な施設といった場所が、心に残る風景として立ち上がってくる。
特に、闇の中にわずかに差し込む光の演出は秀逸であり、絶望の中にかすかな希望を感じさせる。カメラの動きにも工夫があり、シーンごとに奥行きを感じるダイナミックな視点が、探索に新鮮さを与えている。

穏やかに進むパズルと冒険

ゲームの基本は移動と環境パズルである。主人公が得る特殊な力を使い、障害物を溶かしたり固めたりしながら道を切り開いていく。パズルの難易度は高くなく、詰まることはほとんどないため、物語を止めることなく自然なテンポで進めることができる。
一方で、キャラクターの操作性には多少の粗さがあり、奥行き方向への移動が思い通りにいかない場面などでは、小さなストレスを感じることもあった。

終わりは、プレイヤーの選択次第

物語の終盤には、いくつかの選択肢が用意されており、それによって異なるエンディングに辿り着く。どの結末も明快なハッピーエンドではないが、それぞれに深い余韻を残す。
クリアにかかる時間は4~6時間ほどと短めだが、その濃密な体験は、プレイ時間以上のものを心に刻みつける。

まとめ

『Somerville』は、派手な演出や明確な答えを求めるプレイヤーには向かないだろう。しかし言葉ではない「何か」を感じ取り、自分自身で物語を紡いでいく体験を求める人にとって、本作は忘れがたい作品となる。もちろん『INSIDE』や『Limbo』のファンにもおすすめだ。静かに、しかし確かに心を揺さぶる、小さな冒険がここにはある。

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Somerville
プレイ時期:2025年4月
プレイ時間:約5時間
プラットフォーム:PS5
レビュータイミング:クリア後
シナリオ
グラフィック
音楽
新規性
やり込み度
良いところ
INSIDE好きにはたまらない
アートスタイルと世界観
気になるところ
やや気になる操作性
やや分かりづらいインタラクト
3.9