ベネズエラに拠点を置くSukeban Gameというゲームスタジオが制作した「VA-11 Hall-A」。プレイヤーは、バーテンダーとなり、行き交う客に、お酒(カクテル)を提供して様々な会話模様を楽しむという異色のアドベンチャーゲーム。
お酒を片手に、じっくりと楽しむビジュアルノベルゲーム
本作は、西暦207X年、グリッチシティという架空の街のはずれにあるとあるバーが舞台だ。90年代のファミコンを思わせる8Bitなドット絵や、独特のサウンドが本作を彩っている。
プレイヤーは、とあるバーのアルバイトである主人公ジルを介して、様々な来客にカクテルを提供しながら、一癖も二癖もある会話を楽しむことになる。来客は、喋る犬、ヒューマノイドなど奇想天外である。来客との会話は、実にくだらないものから、ブラックユーモア、同性愛、下ネタまで多岐にわたっている。また、日本の2chやニコニコ動画を彷彿とさせるような言い回しや演出があり、オタクカルチャーのオマージュも垣間見られる。
本作の特徴であるカクテル提供は、お客の趣向に合わせたフレーバのカクテルを用意しても良いし、あえてお客の好みとは違うカクテルを作っても良い。一応作ったカクテルの種類に応じて、その後の会話が変わったりする。 このカクテルを作るという行為に、特段のゲーム性があるというわけでもないが、このプロセスが単なる作業ではなく、なんとも言えない”味わい”があり、ビジュアルノベルゲームの良いアクセントになっている印象である。
本作では、1周約10時間程度であるが、大きくグッドエンドとバッドエンドの2種類が用意されており、しっかりカクテルを提供してお金を稼いでいけばグッドエンドに辿りつける。
カクテルを作るというゲーム性を単調と感じたり、オタクカルチャーや独特の世界観の没入できない方には、本作は合わないかもしれない。
プレイヤー自身も、お酒を片手に、肩の力を抜いてじっくりとテキストを味わうのが本作の正しい楽しみ方と言えるだろう。
プレイ時間:約10時間
プラットフォーム:PS4
レビュータイミング:クリア後