とあるゲーム系Youtubeの紹介を見て、非常に興味を持ち、新幹線の移動中にプレイしクリアまで到達した作品。冒頭の不穏なはじまりからは想像できない、誰もが人生の中で経験する可能性のある一場面を見事にゲーム化した小さな傑作。
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1,2時間で終わる、小さくも鋭い家族の物語
『ダレカレ』は、約1,2時間ほどでエンディングに到達する短編アドベンチャーゲームである。昨今の大作タイトルとは真逆の立ち位置にある作品だ。ボリュームも派手さもない。
しかし、実際にプレイしてみるとわかる。この作品は“長さ”ではなく、“体験の濃さ”で勝負している。
短編であることが、むしろ本作の武器になっている。
近いはずのが、遠くなる瞬間

物語は、ある関係性の中で交わされる会話から始まる。
登場人物は多くない。プレイヤーは彼らのやり取りを通じて状況を理解していくことになる。
最初は何気ない会話に見える。
だが、徐々に言葉の端々に違和感がにじみ始める。
「なぜその言い回しなのか」
「その沈黙は何を意味しているのか」
直接的な説明はほとんどない。だからこそ、プレイヤー自身が考える余地が生まれる。物語のテーマは、人と人との距離感である。近いはずの存在が、ふとした瞬間に遠く感じられる。その感覚を、本作は静かに描いている。

終盤にかけて明らかになる真実は、派手などんでん返しというよりも、「ああ、そういうことだったのか」と腑に落ちるタイプの構成である。
短編ながら、きちんと起承転結があり、読後感も残る。
計算されたゲーム性

ゲームシステムは極めてシンプルである。基本的には、QTEを中心とした、選択肢を選びながら進めていくポイントクリック型のゲームだ。
ゲーム序盤などは、なぜこんな単純な行動まで面倒くさいQTE操作を強いるのかと疑問に思うが、このゲームの終盤にたどり着いたころには、その意味が分かりハッとすることになる。
そして、分岐は大きく広がるタイプではなく、周回前提の設計でもない。
一度のプレイで物語の全体像はほぼ把握できる。この潔さは評価できる点である。余計なシステムに気を取られず、物語そのものに集中できる。
まとめ

『ダレカレ』は、短編小説のようなアドベンチャーゲームである。
派手な展開や強烈なショックを与える作品ではない。しかし、静かに、じわりと心に残る。1~2時間という短さの中で、他者との距離感というテーマを丁寧に描いた作品である。
長編ではなく、濃密な短編体験を求めるプレイヤーにはおすすめできる一本である。
プレイ時間:約2時間
プラットフォーム:Nintendo Switch
レビュータイミング:クリア後
