トレイラーを見た時から、モノクロの愛らしいビジュアルに惹かれ、気になっていた本作。ジャンルも世界観もまったく分からない状況でのプレイ。ゆっくりと、4時間ほどかけて本作をプレイし、無事にクリアまで到達。
愛くるしいビジュアルの通り、カメラ撮影と共に広がる小さな冒険を早速レビューする。
写真を通じて感じる、優しさと発見の旅
『TOEM』は、2021年にリリースされた手描き風モノクロームのアドベンチャーゲームである。本作は、プレイヤーが写真を撮りながらユニークなキャラクターたちと交流し、ちょっとしたパズルを解きながら進めるシンプルなゲームだ。その優しい世界観と、リラックスしたプレイ体験が多くのプレイヤーを魅了している。
シンプルで温かみのあるストーリー
プレイヤーの目的は、主人公が「TOEM」と呼ばれる特別な現象を目撃するために旅に出ること。ストーリー自体はシンプルだが、旅の途中で出会う個性豊かなキャラクターたちが、このゲームの最大の魅力となっている。彼らの困りごとを写真撮影を通じて解決しながら、心温まる交流が描かれる。
例えば、あるキャラクターは迷子の家族を探していたり、また別のキャラクターは「特別な風景」の写真を求めていたりする。プレイヤーは写真を撮るという行動を通じて、他者を助け、世界を少しだけ明るくする存在となる。
写真撮影と探索の楽しさ
『TOEM』のゲームプレイは、写真撮影を中心に展開される。プレイヤーはカメラを使い、景色やイベントを捉えることで物語を進める。写真を撮る際には、構図や被写体を自由に選ぶことができ、まるでアート作品を作る感覚を味わえる。
ゲームは基本的にパズル形式で、撮影した写真を使ってキャラクターの依頼を解決したり、次のエリアへの道を切り開いたりする。また、特定の角度や視点から撮影しなければ気づけない仕掛けも多く、プレイヤーに注意深く探索する楽しさを提供している。
探索範囲は広く、街や森、雪原といったさまざまなロケーションを訪れる。どのエリアも手描き風のモノクロデザインが美しく、画面を眺めているだけでも癒される。また、エリアごとにユニークなテーマや音楽が用意されており、旅の雰囲気を一層引き立てている。
モノクロ世界の優しさ
『TOEM』のアートスタイルは、全編がモノクロームで描かれており、絵本のような優しいタッチが特徴だ。細部まで緻密に描き込まれた世界には温かみがあり、キャラクターたちのコミカルなデザインが絶妙に調和している。ただ、一方でモノクロであることが本作の個性ではあるものの、必ずしもモノクロである必然性を感じなかった。カラーで表現されていればむしろ一層楽しい世界観になっていた可能性もある。
そして、本作の音楽もまた、ゲームの雰囲気を高める重要な要素だ。穏やかで心地よいサウンドトラックは、プレイヤーにリラックスした時間を提供し、旅の気分を盛り上げてくれる。写真を撮りながら耳にするBGMは、まるで心を落ち着かせるような効果がある。
中毒性のないリラックス体験
本作の大きな特徴の一つは、そのリラックスしたゲームデザインにある。時間制限や戦闘要素が一切なく、プレイヤーは自分のペースで探索し、写真を撮ることができる。そのため、忙しい日常の合間に心を癒したい人や、のんびりとゲームを楽しみたい人にとって理想的な作品だ。
また、クリアに必要な要素は比較的簡単で、カジュアルゲーマーや初心者でも楽しめる内容となっている。一方で、隠し要素やコレクション要素も充実しており、やり込みたいプレイヤーにも満足感を提供している。
『TOEM』はクリアまで、3～4時間程度で到達可能なコンパクトな作品だ。
続編タイトル『TOEM 2』発表！
私が本作をクリアした直後のタイミングで、なんと本作の続編『TOEM 2』が発表！
プレスリリースによると「作曲家を含めてチームが再び集結した」とのこと。『TOEM 2』については、前作の良い部分を活かしながら、他の部分の改善を目指していくようだ。リリースは2026年と少し先になるが、詳細を待ちたい。
続編「TOEM 2」は、2026年にPC&コンソールでリリース予定！
まとめ：優しさに満ちた小さな旅
『TOEM』は、アクションや刺激的な要素を求めるゲームではなく、写真を通じて小さな幸せを発見する旅を描いた作品である。そのモノクロームの世界観や穏やかな音楽、そして心温まるキャラクターたちは、プレイヤーに優しさと癒しを与える。
ボリュームこそ控えめだが、短い中にも深い満足感が詰まっている。何気ない日常の中にある美しさや、他者と助け合うことの大切さを、そっと教えてくれるゲームだ。忙しい日々の合間に、ほっと一息つきたいプレイヤーにぜひ体験してほしい一本である。
本作は、「A Short HIke」にも作風が似ており、癒しを求めたい方には特におすすめだ。
「A Short Hike」評価・レビュー
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プレイ時間：約4時間
プラットフォーム：PS4
レビュータイミング：クリア後
