アトラスといえば、「ペルソナ」シリーズや「真・女神転生」シリーズなど、独自の世界観や緻密なストーリーテリングで知られる日本のゲームメーカーです。
しかし、これらの名作が多くのファンに愛される一方で、近年では「完全版商法」と呼ばれる販売戦略が物議を醸しています。本記事では、アトラスの完全版商法について、その特徴、賛否、そして今後の可能性を考察します。
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完全版商法とは?
完全版商法とは、ゲームの通常版を発売した後、追加コンテンツや改善点を加えた「完全版」を新たにパッケージ化して販売する形態を指します。アトラスにおける代表的な例は以下の通りです。
- ペルソナ5(2016年) → ペルソナ5 ザ・ロイヤル(2019年)
- キャサリン(2011年) → キャサリン・フルボディ(2019年)
- ペルソナ3(2006年) → ペルソナ3 フェス(2007年) → ペルソナ3 ポータブル(2009年)
- ペルソナ4(2008年) → ペルソナ4 ザ・ゴールデン(2012年)
- 真・女神転生III ノクターン(2003年) → 真・女神転生III ノクターン マニアクス(2004年) → 真・女神転生III ノクターン HDリマスター(2020年)
これらのタイトルでは、シナリオの追加や新キャラクターの導入、システムの改善などが施され、初回版をプレイしたユーザーにも再購入を促す仕組みとなっています。
賛成意見:新たな価値の提供
完全版商法を支持する意見として、次のようなポイントが挙げられます。
個人的にはアトラスのゲーム自体は非常に大好きで、これからも持続的にゲームをリリースして欲しいので、こうした「完全版」商法ビジネスが、その目的を寄与するなら、ある程度は許容する派ではあります。
- より深い体験を提供
完全版では、新しいキャラクターやストーリーが追加されることで、既存のファンも新鮮な気持ちでゲームを楽しめます。例えば、「ペルソナ5 ザ・ロイヤル」では、主人公たちに新たな視点をもたらすキャラクター「芳澤かすみ」の登場が話題を呼びました。 - 新規プレイヤーの参入
完全版は、初回版を逃したプレイヤーにとって理想的な購入機会です。すべての追加要素が含まれているため、新規ファンが入りやすいのも事実です。 - ゲームの完成度を高める
ゲーム開発の過程では、スケジュールや予算の制約で削られる要素が多々あります。完全版では、それらを補完し、開発者が理想とする形に近づけられるという側面もあります。
批判意見:ファンへの負担
一方で、完全版商法には、次のような批判の声もあります。
個人的には、二重課金よりも、一度クリアしたゲーム(しかもアトラスのRPGは重厚長大!)を、また一からプレイしなおすタイプの”完全版”は、やめてほしいところ。完全版を出すなら、引継ぎ可能な形でリリースして欲しいとは思います。
- 二重課金の問題
完全版の購入には、初回版を購入したプレイヤーにとって「もう一度買わされる」という感覚を生じさせます。初回版をフルプライスで購入したユーザーほど、不満を抱く傾向があります。 - DLCでの対応の期待
現在のゲーム業界では、追加要素をDLC(ダウンロードコンテンツ)として提供する手法が一般的です。完全版という形で再リリースするのではなく、既存プレイヤー向けにDLCを提供すべきだとの意見も多く聞かれます。 - 「未完成品」の印象を与える可能性
最初から完全版の要素を盛り込めたのではないか、という疑念を抱かせる場合もあります。これは、特にゲーム発売後短期間で完全版が出るケースで顕著です。
アトラスの完全版商法は今後どうあるべきか
アトラスは、ゲーム業界でもトップクラスのクオリティを誇るメーカーです。そのため、完全版商法が批判される理由の一つとして、「ユーザーの期待が高すぎる」点も無視できません。
ファンは常にアトラスに「最高」を求めており、その期待を裏切ると厳しい反応が返ってくるのです。
完全版商法を取り入れる場合、以下のような改善案が考えられます:
- DLCの活用強化
完全版を物理メディアとして再販売するのではなく、DLCとして提供することで、既存プレイヤーへの配慮を示す。 - 透明性の向上
完全版にどのような要素を追加するのか、初回版の段階で明確に伝える。これにより、ユーザーは購入時点で選択がしやすくなります。 - アップグレードプランの導入
「完全版へのアップグレード」を安価で提供する仕組みを作れば、二重課金の批判を和らげることができるでしょう。
まとめ
アトラスの完全版商法は、賛否が分かれるテーマであるものの、ユーザーに新たな価値を提供する側面も確かに存在します。しかし、長期的なブランド価値を維持するためには、既存ファンの不満を解消する努力が必要です。
完全版商法における課題を改善し、ファンの期待に応える形で進化するアトラスを期待したいところです。