「PREY | プレイ」評価・レビュー

ベセスダの「Dishonored」シリーズが大好きな私が、以前より気になっていた「PREY」。本作は、同じくベセスダ・ソフトワークスによって2017年にリリースしたSFアクション・アドベンチャーゲーム。ちなみに、「PREY」とは、「獲物，餌食」を意味する。

想像以上の難易度の中、悪戦苦闘の末、クリアまで到達できたため、本作についてレビューする。

至高のサバイバルSFアドベンチャー

本作は、単なるFPS視点のシューティングゲームではなく、緻密に構築されたストーリー、革新的なゲームプレイ、そしてプレイヤーの心理に訴える恐怖の要素が見事に組み合わさった一作である。冒頭から非常に難易度も高く、「Dishonored」以上に人を選ぶ、”玄人向け”の作品であると感じた。

宇宙ステーションでの孤独な戦い

「PREY」の舞台は、2030年代の未来を背景にした巨大な宇宙ステーション「タロスI」。プレイヤーは、科学者モーガン・ユウとして目を覚まし、この広大で不気味なステーションを探索することになる。宇宙ステーションは一見すると美しく近未来的なデザインだが、その中には「タイフォン」というエイリアン生命体が潜んでおり、常にプレイヤーに危険が迫っている。

本作の特徴の1つとして、この宇宙ステーションがオープンワールドとして設計されている点にある。プレイヤーは自由に施設内を探索し、ステーションの謎を解き明かす中で、アイテムを集めたり、新しい能力を獲得したりすることができる。閉塞感と孤独感が漂う環境の中で、プレイヤーは「生き延びる」ための手段を常に模索しなければならない。

オープンワールドではあるものの、エリアごとにロードを挟むため、完全に自由にシームレスでは無い。

プレイヤーの選択が物語を変える

「PREY」が他のSFホラーと一線を画す理由は、その緻密に設計されたストーリーテリングにある。モーガン・ユウは、過去に行った実験の影響で記憶を失っており、プレイヤーはストーリーを進める中で、彼が一体何をしていたのか、そしてこの施設で何が起きたのかを少しずつ明らかにしていく。何が真実で、何が虚構なのか、プレイヤーの選択が物語の展開を大きく左右する。とりわけ、ゲーム冒頭ではアッと驚く演出があり、ぜひプレイしてみてほしい。

さらに、ニューロモッドという強化技術によって、プレイヤーは超常的な能力を身に付けることができる。このニューロモッドの選択はプレイスタイルに大きな影響を与え、物理的な力で敵を倒すか、タイフォンの能力を利用して敵を欺くかといった多様な戦術が可能だ。

恐怖と緊張感を生み出すゲームデザイン

「PREY」は、プレイヤーに絶え間ない緊張感を提供する。特にタイフォンの中でも「ミミック」と呼ばれる敵は、周囲の物体に変身することができ、何が敵で何が単なるオブジェクトかを常に疑わせる恐怖を生み出す。これにより、ゲーム内でただアイテムを収集するだけでも、背後に潜む危険に対する警戒心がプレイヤーに植え付けられる。

また、ステルスや環境の利用が求められる戦闘は、プレイヤーのスキルと戦術を試すものとなっており、単純なシューティングゲームとは一線を画している。

探索や資源管理が重要であり、戦闘そのものも慎重な戦略が求められるため、限られた武器やアイテムをどのように活用するか、厳しい制約の中で、プレイヤーの判断が生死を分ける要素となっている。

ステルスやサバイバル要素が苦手な人や、ホラーに耐性がない人には、緊張感のあるゲームプレイがストレスとなるかもしれない。

まとめ

「PREY」は、単なるアクションゲームやホラーゲームではなく、サバイバルホラー、SF、心理的スリラーの要素を巧みに融合させた傑作である。宇宙ステーションという閉ざされた空間の中で、プレイヤーが抱く恐怖や不安を巧みに操作しながら、謎解きとサバイバルを同時に楽しめるゲーム体験は、非常に濃密である。

そのストーリー展開は、選択によって異なる結末を迎えるため、何度でもリプレイしたくなる魅力がある。また、緊張感のある探索と戦闘、そして圧倒的な孤独感の中で感じる恐怖は、ホラー好きなゲーマーにとっても最高の体験を提供するだろう。

結果として「PREY」は、SFホラーというジャンルに新たな地平を切り開いた作品として、プレイヤーに強烈な印象を残すゲームである。卓越したストーリー、独創的なゲームプレイ、そして圧倒的な世界観が、プレイヤーを夢中にさせることは間違いない。個人的には、文字通り隠れた傑作と言える。