久しぶりに、骨太なメトロイドヴァニアをプレイしたいと思っていたところ、UBIよりリリースされた「プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠」の評判がすこぶる良いと言う。早速プレイし、クリアまで到達できたのでレビューする。
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メトロイドヴァニアの新たな傑作
本作は、1989年に登場した「プリンス オブ ペルシャ」の最新作となる。今回は神秘的なペルシャの世界を舞台としたアクションアドベンチャーである。主人公は、国防の要である不死隊の一員で、才能ある若き戦士サルゴン。
かつては栄華を極めたものの現在は呪われているカーフ山を探索し、王子ガッサンを救出する冒険に出る。荘厳な知の神殿やカラフルな風景が広がるヒュルカニアの森といった、ペルシャ神話に着想を得たさまざまなエリアをプレイヤー自ら開拓していく。
洗練されたゲームプレイと操作性
本作では、従来のシリーズファンにとっても親しみやすいが、よりモダンな要素が追加されている。プレイヤーは、スムーズなパルクールアクションを楽しむことができるが、その操作感は非常に洗練されており、過去作よりも流れるような動作が可能である。壁走りやジャンプ、ロープを使った移動など、シリーズでお馴染みのアクションに加え、新たなアクション要素が追加されている。
パズル要素も非常に充実しており、プレイヤーは時間を操る力を駆使して仕掛けを解いていく。特に、時の力(タイムマニピュレーション)とパルクールを組み合わせたパズルは、シリーズならではの難易度と達成感を与えてくれる。また、ボス戦では、各ボスに合わせた独自の攻略法が必要であり、プレイヤーの反射神経と戦術的な思考が試される。
「探索」が捗るザッピングシステム
本作は、いわゆる“メトロイドヴァニア”にインスパイアされたマップ探索型アクションRPGの形式をとっている。
メトロイドヴァニアとしてのゲーム性がしっかりと作り込まれており、縦横に広がるマップを自由に探索できる。 時の力やアビリティを使って、通常では到達できない場所に行ったり、隠されたアイテムやエリアの探索を進めていく。メトロイドヴァニアに求めるものが十二分に詰め込まれており、体験自体はそれほど珍しいものではない。
本作では、探索の途中、画面キャプチャを残して、マップ上に記録できるというシステムが導入されている。気になる場所や、能力を覚えてから再訪したいエリア等、自由に画面記録として残すことが出来る。
これが非常に本ジャンルのゲーム性にマッチしており、まさに新たな”発明”とも呼んでも過言ではないほど素晴らしい。
高度に設計されたレベルデザイン
本作は、高い自由度を誇りながらも、その難易度曲線が非常に丁寧に設計されているように感じた。地形ギミックの攻略、そして敵との戦闘、パズルのレベルデザインが、プレイヤーの進捗状況に合わせて絶妙に、緩やかに高まっていく。
ゆえに、本ジャンル初心者であっても、取り残されることなく、操作を覚えていくことが出来る。
そしてゲーム中盤にもなると、プレイヤーと主人公サルゴンが、まるで一心同体になっているかのように、滑らかに、そして意のままに操作することが可能だ。手に吸い付くような操作感覚とは、まさにこのことである。
まとめ
「プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠」は、シリーズのファンにとって懐かしさと革新を兼ね備えたゲームであり、新規プレイヤーにも十分楽しめる作品である。特に、アクションとパズルの絶妙なバランスが取れており、テンポの良いゲームプレイが魅力的だ。タイムマニピュレーションを駆使した独自の戦闘やパズルは、このシリーズ特有の緊張感と達成感を提供する。
一方で、一部のパズルやアクションが難解すぎると感じるプレイヤーもいるかもしれない。特に、タイミングが重要なアクションシーンや、複雑な仕掛けを解く場面では、少々の試行錯誤が求められることもある。しかし、これらの難易度もまた、このゲームの醍醐味と言えるだろう。
グラフィックやサウンドも一流であり、美麗なペルシャの世界観に没頭しながら冒険を楽しめる点は、多くのプレイヤーにとって大きな魅力となっている。
本作は、”メトロイドヴァニア”を愛するすべてのゲーマーにとって、プレイする価値のある作品であり、個人的には、本ジャンルの中において3本指に入るほどの屈指の作品であると感じた。
厳選「メトロイドヴァニア」珠玉の3選!プレイ時間:約30時間
プラットフォーム:PS5
レビュータイミング:クリア後