「サイバーパンク2077 | Cyberpunk 2077」評価・レビュー

あの大炎上から度重なるアップデートを経て、奇跡の大復活を遂げた「サイバーパンク2077」。今回、最新バージョンにて、本編、そして追加DLC「仮初めの自由」について、100時間近い時間をかけて、それぞれエンディングまで到達したので、満を持してレビューする。

ゲーム史に残るオープンワールドゲームの傑作

本作は、ポーランドのゲームスタジオCD Projekt Redによって開発されたオープンワールドRPGである。近未来の大都市「ナイトシティ」を舞台に、プレイヤーが強化人間「V」として、巨大企業や裏社会と対峙しながら自由度の高い冒険を繰り広げる。サイバーパンクというジャンルに根差した本作は、ディストピア的な社会と高度に発展したテクノロジーが共存する独自の世界観を持つ。

私も、本作の冒頭に、車の後部座席に乗せられ、初めて窓から覗く夜のナイトシティを見た時は、果てしなく高くそびえるビル群のふもとで怪しく光る看板やネオン、そして鬱屈とした路地裏、これら全てを自由自在に自ら探索し、歩くことが出来るのだと思うと、このゲームがもつリアリティにゾクッと身震いするほどの興奮を覚えたことを覚えている。

発売当初の問題点

「サイバーパンク2077」の発売当初、最も注目を集めたのは、その技術的な問題であった。特にPS4などの旧世代のコンソール版では、ゲームがまともに動作しないことが多く、頻繁なフレームレートの低下やクラッシュ、オブジェクトの読み込み不良が多発した。これにより、プレイヤーが予定通りのゲーム体験を得られない状況が続いた。また、バグの数も膨大で、進行不可となるものから、キャラクターが突然姿を消すといった軽微なものまで多岐にわたった。これらの問題はゲームプレイの没入感を著しく損ね、多くのユーザーが不満を抱く原因となった。

この問題はメディアやコミュニティで広く取り上げられ、CD Projekt Redは迅速な対応を迫られることになった。特にソニーがPlayStation Storeから本作を一時的に削除し、返金対応を行ったことは、この問題の深刻さを象徴する出来事である。開発側はこれに対し、複数の大型パッチを約束し、バグ修正やパフォーマンスの向上に全力を注ぐことを明言した。

アップデートによる改善点

CD Projekt Redは、発売後の数か月間にわたって数多くのアップデートをリリースし、「サイバーパンク2077」の技術的な問題を修正してきた。これらのアップデートは、ゲームのパフォーマンス向上とバグの修正に主眼を置いており、特にコンソール版においては劇的な改善が見られた。

まず、フレームレートやクラッシュ問題の大幅な修正が行われ、旧世代機でも安定してプレイできる環境が整えられた。また、ゲーム全体のバグ修正に関しても、多くのパッチで数百に及ぶ修正が行われ、進行不能になるバグや視覚的な問題が解消された。これにより、ゲームの没入感が大幅に向上し、リリース時に感じられた「未完成さ」はかなり軽減された。

さらに、大規模アップデートでは、新しい機能や改善も追加された。ユーザーインターフェースの改善やAIの挙動の調整など、プレイヤーのフィードバックをもとにした多くの変更が行われた点も評価に値する。また、DLCや拡張コンテンツの配信も開始され、ゲーム全体のボリュームや体験がより充実したものとなった。

CD Projekt Redの継続的なサポートにより、当初の炎上状態からは完全に立ち直ったと言えるだろう。

現在のゲーム体験

最新バージョンにおける「サイバーパンク2077」のゲーム体験は、発売当初と比べて大幅に改善されている。まず、技術的な面では、パフォーマンスの向上が特筆すべき点である。特に次世代コンソールやハイエンドPCでは、安定したフレームレートと美麗なグラフィックを存分に楽しむことができるようになった。バグやクラッシュも大幅に減少し、プレイヤーがスムーズにナイトシティの世界を探索できる環境が整っている。

ゲームプレイ面でも、多くの改善が見られる。例えば、以前はAIの挙動に不自然さが目立ったが、最新アップデート後は、NPCのリアクションや行動がよりリアルになり、都市が生き生きとしたものに感じられるようになった。車の運転や戦闘システムも調整され、操作性が向上している。また、追加コンテンツにより、ミッションのバリエーションやサイドクエストが充実し、プレイヤーが飽きずに楽しめる要素が増えている。

一方で、完全に問題がなくなったわけではない。まだ一部のバグが報告されており、プレイ環境やプラットフォームによっては、若干の不安定さが残るケースもある。しかし、これらはゲーム全体の体験を大きく損ねるほどのものではなく、継続的なパッチでさらに改善が期待される。

総じて、現在の「サイバーパンク2077」は、リリース当初の混乱を乗り越えた、完成度の高いオープンワールドRPGとなっている。

現在においても、PS4などの旧世代機でのプレイはお勧めしない。

PS5の環境で、100時間のプレイで5時間に1回程度の割合でクラッシュがあった。ゲームの再起動で復帰できるものの、やはり若干のストレスがある。

ストーリーとキャラクター

「サイバーパンク2077」の物語は、未来都市「ナイトシティ」を舞台に、プレイヤーが操る主人公「V」が数々の困難に立ち向かうというものだ。本作のストーリーは、プレイヤーの選択によって結末が変わるマルチエンディング形式を採用しており、その多層的な物語展開は非常に高い評価を受けている。

メインストーリーでは、主人公Vが脳内にデジタルゴーストとして存在する「ジョニー・シルヴァーハンド」と共に行動することとなる。ジョニーを演じるのは俳優キアヌ・リーブスであり、彼のカリスマ的な演技と個性的なキャラクターは、多くのプレイヤーに強い印象を残している。ジョニーとVの関係は物語の核となり、彼とのやり取りを通じて、プレイヤーはナイトシティの陰謀や真実に迫ることになる。

また、サイドクエストも本作の魅力の一つであり、プレイヤーが選ぶ行動によって多様な物語が展開する。特に、各クエストに登場するキャラクターたちは一人一人が緻密に描かれており、彼らとの関わり方がストーリーの深みを増している。中でも、Vの友人や仲間となる人物たちとの関係性が丁寧に描かれており、プレイヤーに感情移入を促す仕組みとなっている。

結果として、ナイトシティの冷酷さと人間味が混在する世界は、非常に引き込まれるものであり、単なるサイバーパンク作品にとどまらない感動的な物語を提供している。

グラフィック・サウンド

「サイバーパンク2077」の最大の魅力の一つは、その圧倒的なビジュアルである。ナイトシティは、高層ビル群が立ち並び、無数のネオンライトが都市を照らす独特なサイバーパンクの世界観を完璧に再現している。

特に次世代コンソールやハイエンドPCでのレイトレーシングや高解像度テクスチャは、息を呑むほどの美しさであり、プレイヤーを現実とは思えない未来世界に引き込む。昼夜の変化や天候の表現も非常にリアルであり、ナイトシティを歩くだけでも没入感を感じられるほどだ。

一方、キャラクターモデルや車両デザインも非常に細かく作り込まれている。登場するNPCや主要キャラクターは、それぞれ個性的なデザインが施されており、まるで実際にその世界に存在するかのようなリアリティを持っている。加えて、車やバイクなどの乗り物も未来的なデザインであり、ナイトシティを駆け巡る楽しさを倍増させている。

サウンドデザインもまた、ゲームの雰囲気を大いに高めている。背景音楽にはエレクトロニックなサウンドが多用され、プレイヤーにサイバーパンクの退廃的でありながらもエネルギッシュな世界を感じさせる。また、効果音に関しても、銃声やエンジン音などが非常にリアルで、戦闘シーンや追跡シーンの緊張感を増幅している。音楽やサウンドトラックに関しても、各シーンに合ったものが使用され、ストーリーの展開をよりドラマチックなものにしている。

ナイトシティそのものが、一つの巨大なキャラクターとして機能するほどの緻密さと迫力で表現されており、視覚と聴覚の両面でプレイヤーを圧倒する体験が提供されている。

追加DLC「仮初めの自由」

サイバーパンク2077:仮初めの自由 [日本語吹替版] — 公式トレーラー

本作の追加DLC「仮初めの自由(Phantom Liberty)」は、ナイトシティの物語をさらに広げる大規模な拡張コンテンツである。DLCは、スパイ・スリラー的な展開を特徴としており、プレイヤーは新たに追加されたエリア「ドッグタウン」で、政府の陰謀や秘密作戦に巻き込まれることになる。

物語の中心には、Vがある極秘任務に参加し、アメリカ大統領の救出という一大ミッションに挑むという展開が待っている。プレイヤーは新たなキャラクターたちと出会い、特にミリタリーテクノロジーやスパイ技術を駆使して物語を進めていく。

本編同様に、重厚なストーリーテリングが魅力であり、プレイヤーの選択によって展開が変わる自由度も健在である。また、新たな武器やスキルが追加され、戦闘や戦術のバリエーションが広がった点も高く評価されている。グラフィックや演出のクオリティも引き続き高く、ナイトシティの一角に新たな深みを加えている。

全体として、「仮初めの自由」は「サイバーパンク2077」を楽しんでいるプレイヤーにとって必須の拡張コンテンツであり、オリジナルのゲーム体験をさらに引き立てるものとなっている。

本編以上に、ストーリーのテンポが増しているとともに、サイドストーリーもディティールも素晴らしく、マストプレイと言える。

まとめ

「サイバーパンク2077」は、その発売当初の混乱と技術的な不備を乗り越え、現在では完成度の高いオープンワールドRPGとして多くのゲーマーから再評価されている。CD Projekt Redが継続的に行ってきたアップデートと改善により、ゲームはその潜在能力を十分に発揮できる状態にまで回復したと言える。

特に次世代コンソールや高性能PCでの体験は、グラフィック、サウンド、ゲームプレイのすべてにおいて最高水準であり、ナイトシティの広大な世界を余すところなく楽しむことができる。プレイヤーが選ぶ行動によってストーリーが変化する自由度の高いゲームデザインや、キャラクターとの深い関係性は、他のRPGとは一線を画す魅力を持っている。

しかし、依然としてプラットフォームによっては細かなバグが残っており、旧世代機ではパフォーマンスの面で制約が感じられることもある。とはいえ、これらの問題はゲーム体験全体に大きな悪影響を与えるほどではなく、アップデートにより今後も改善が期待できるだろう。

結論として、現在の「サイバーパンク2077」は、サイバーパンクの世界観に浸りたいプレイヤーや、深いストーリーと自由度の高いゲームプレイを楽しみたいゲーマーにとって、間違いなくおすすめできる作品である。発売当初の評判が気になるかもしれないが、今の「サイバーパンク2077」は、当初の期待を超える体験を提供できるゲームに成長している。

追加DLC「仮初めの自由」含め、本作はゲーマならぜひプレイすべき傑作!

サイバーパンク2077:あの大炎上から奇跡の復活、「Phantom Liberty」で伝説へ!そして 現在は?!

サイバーパンク2077
プレイ時期:2024年9月
プレイ時間:約100時間
プラットフォーム:PS5
レビュータイミング:クリア後(追加DLC含む)
シナリオ
グラフィック
音楽
新規性
やり込み度
良いところ
史上最高峰のオープンワールド
止め時を失うストーリテーリング
驚異のグラフィック表現
気になるところ
いまだ残存するクラッシュ・バグ
4.7