「メトロイド ドレッド」評価・レビュー

昨今隆盛を極める「メトロイドヴァニア」というジャンルの始祖ともいうべき「メトロイド」シリーズ。私自身は、1986年にリリースされた初代「メトロイド」以来のプレイとなるが、この度、高難易度ゆえに、腱鞘炎になりかけつつも、2021年NintendoSwitchでリリースされた「メトロイド ドレッド」をクリアまでプレイ出来たので、レビューする。

メトロイドヴァニアの原点

メトロイド ドレッド 2nd トレーラー

本作は、2Dスクロール・アクションで、広大なマップを探索しつつ、途中ボスを撃破しながら、物語を進めていくスタイルだ。主人公サムスは、スピーディな移動とビーム攻撃を駆使しつつも、途中で獲得した能力を使って、探索の領域を広めていく。一度通ったマップも、新たな能力を持って再訪すると、新しい発見や通路が見つかる場合があり、まさに探索を醍醐味とした「メトロイドヴァニア」というジャンルを気づいた本シリーズの魅力でもある。

新たな”遊び”への挑戦

本作では、この伝統にして王道のゲーム性をしっかりと踏襲しつつも、新しい要素にも挑戦している。

1つは、昨今のソウルライクと呼ばれる、いわゆる”死にゲー”では定番となっている”パリィー”によるカウンター攻撃が用意されている。敵の攻撃の特定タイミングでボタンを押すことで、”パリィー”が発動し反撃が可能だ。”パリィー”を自由自在に発動するにはある程度の熟練を要するが、この要素が本作のアクションに深みを与えている。当然、ボス攻略においても、この”パリィー”は重要な要素にもなっている。

タイミングを合わせて”パリィー”反撃

また、本作では「E.M.M.I.」と呼ばれる、非常に凶悪な追跡ロボットからひたすら逃げるという場面が用意されている。基本的には、「E.M.M.I.」は無敵の存在であり、捕まると即死になるため、プレイヤーは、通路のギミックを利用しながら、素早く立ち回っていくことが求められる。この新しい遊びも、本作での1つの挑戦であり、本作を高難易度たらしめている1つの要素とも言える。

「E.M.M.I.」からの逃亡

やや違和感のある操作性

本作では、ゲームを進めていく中で、様々な特殊武器や能力を手に入れていくことになるが、その操作性には少し疑問を感じるところがある。

ゲーム序盤は非常に手に馴染む形で新しい武器や能力を操作していくのだが、中盤以降から、その操作性が極端に複雑になってくる。

分かりやすいところでは、この手のジャンルでは定番の二段ジャンプだ。主人公サムスは真上には二段ジャンプが出来ない(左右への助走がないと二段ジャンプが出来ない)仕様になっている。ボス戦での繊細な駆け引きの最中に、この二段ジャンプがうまくいかず、何度もダメージを追うことになってしまった。

また、ゲーム中盤以降に手に入る「シャインスパーク」という直線距離を超高速に移動する能力があるのだが、これの操作も極めて難解だ。ダッシュ状態から、Lスティックを押し込むとスピードブースター状態に変化させ、その状況で、さらにLスティックを下に押し込むと、シャインスパーク準備状態に移行する。そこから、さらにBボタンとともに、行きたい方向にLスティックを傾けることで、超高速移動が発動するという流れだ。なんとも直感的でないため、慣れないとストレスを感じるアクションである。

これらは、おそらくゲーム設計上、あえてこのような仕様にしていると想像されるが、スピード感のあるアクションなのだから、もう少し直感的な操作にして、気持ちよく爽快に操作できると良かったと感じた。

探索要素は及第点

広大なマップ

メトロイドは、前述の通り、昨今のメトロイドヴァニアというジャンルの始祖であるという点は言うまでもないが、現在、インディを中心に多数リリースされている、メトロイドヴァニア作品と比較するとやや探索要素に欠ける部分があると感じた。

本作は確かに、広大なマップが用意されているものの、特に中盤までは、移動範囲に制限をかけており、自由気ままにマップを駆け回れるわけではない。ある程度リニアに物語が進行しているような印象を受けた。

ただ、これが面白くないかと言うとそうではなく、本ジャンルの初心者であっても、必要以上に迷子にならずに済み、テンポよく進めることが出来る点で理にかなっているとも言える。

高難易度ゆえのカタルシス

最後に、本作は、全体的にアクション強度が高く、ボス戦もほぼ初見では勝てないほどには、硬派で難易度が高い。最初のボスですら、何度もリトライを繰り返すことになるだろう。

しかし、それぞれのボスには、一定のパターンや攻略の糸口が必ず用意されており、リトライを繰り返しながら、1つずつ前に進めていくところに、本作のカタルシスがある。

私も、最終ボスは、初見時は絶対にクリアできないと感じるほどに絶望感を感じたが、何度も挑戦するうちに、最終的にはほぼノーミスで撃破できるほどに上達していた。このあたりのレベルデザインは、さすが任天堂と言わしめるクオリティーである。

初心者向けの「ルーキーモード」も用意されているので、アクションゲーム初心者でも安心してプレイできる。

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メトロイド ドレッド
プレイ時期:2024年7月
プレイ時間:約17時間
プラットフォーム:Nintendo Switch
レビュータイミング:クリア後
シナリオ
グラフィック
音楽
新規性
やり込み度
良いところ
スタイリッシュで爽快
やりごたえのある難易度
気になるところ
クセのある操作性
控えめな探索要素
4