2021年10月、突如Nintendo Directで発表され、即日リリースとなった「アクトレイザー・ルネサンス」。本作は、スーパーファミコンの黎明期にエニックスより発売された傑作「アクトレイザー」のリメイク作品となる。自身も当時、「アクトレイザー」を何度もクリアするほどにはプレイしていた同作のファンでもあるが、まさかここに来て、リメイク版がリリースされるとは夢にも思わなかったので、思わず声を上げたほど驚いた。早速クリアまで到達したのでレビューする。
アクションと町づくりの斬新なゲーム性
本作では、プレイヤーは創造主となり、人々を俯瞰する神の視点で物語が進行する。未開拓の地で、魔物を倒し、人々が村や町を築いていく様を上空から俯瞰して、様々な奇跡を起こしながら、発展させていく。神と神の仕えである天使、そして様々な悩みを抱える人々とのやり取りが、絶妙なテンポで物語を紡いでいく。
そして、このゲームの最大の特徴が、2D横スクロールアクションパートと、街づくりパートの2つのゲームシステムを備えている点だ。前者は、90年代に隆盛した王道の横スクロールアクション。主人公が剣や魔法を駆使して、敵を倒しつつ、最奥のボスを撃破する。一方で、後者は、上からの俯瞰視点で、町作りシミュレーション要素と、今回のリメイクで新たな遊びとして組み込まれたタワーディフェンス要素によって構成される。
SFC版リリース当時は、このようなアクションとシミュレーションが交互に展開されるゲーム性が珍しく、斬新で高い評価を得た。このリメイク版もしっかりと、そのスタイルが踏襲されている。
新たに追加された新要素
本作は、前述の通りSFC版のリメイク作品となり、グラフィックが大幅に刷新されたことに加えて、音楽も豪華にアレンジされている。また、単なる焼き直しにとどまらない追加要素も組み込まれている。
音楽は、原作オリジナル版とアレンジ版を設定で切り替えることが出来る。
タワーディフェンス要素
町作りパートでは、シナリオの一部として、悪魔が町を襲ってくるパートがあり、それが今回のリメイクで追加されたタワーディフェンス形式になっている。3種類の砦を事前に構築し、神殿や建築物を守っていくスタイルだ。神の奇跡と英雄の配置も、攻略の鍵となる。
原作にはなかったタワーディフェンス要素ということで、賛否がありそうだが、難度は、そこまで高いわけではなく、仮に敗北しても、砦の配置を変えるなどして、2,3回やり直せば、攻略できるはずだ。
追加シナリオ
本リメイクでは基本的に原作に忠実なシナリオが用意されているが、クリア後に追加ステージともいうべきシナリオが用意されている。1つの街が追加されたといってよい。
ボリューム的には2~3時間分といったところだろう。とりわけ、印象に残るような追加シナリオではないものの、製作者が単なる焼き直しでは終わらない熱意を感じることが出来る追加要素である。
やや雑なリメイク
本作は、グラフィックの刷新され、ユーザインタフェースも今時の使いやすい仕様に変更されている一方で、リメイクにあたって、やや雑だと感じる部分も見受けられたので、その点を挙げていく。
バランスを欠いた2Dアクション
本作は、横スクロールアクションが1つのゲームの軸となっているが、このアクションがいただけない。主人公のぎこちない動作は、原作譲りなのだろうが、主人公の魔法が強すぎる結果、ボス戦も魔法連打で、あっという間に撃破できてしまい、ゲームバランスがやや崩壊している。
本作は、スマホアプリとしてもリリースされていることや、リメイク作品なので、手軽にプレイできるという点では、良いのだろうが、あまりにもアクションが大雑把かつ簡単すぎて、昨今のソウルライクな難度を期待してプレイすると肩透かしにあうだろう。
変化の乏しい育成パート
町の育成パートは、本作の魅力の1つであり、十分に楽しめる内容ではあるが、基本的にプレイヤーーが介入できる要素は少なく、基本的には、見ているだけで、しばらく時間が経過すると誰がプレイしても、同じような街並みが完成することになる。
また、途中、しばしば湧き上がる敵キャラを、天使を操作して弓矢で打って倒す必要があるが、これも非常に作業感があり途中面倒に感じる場面が多々あった。
プレイ時間:約15時間
プラットフォーム:PS4 on PS5
レビュータイミング:クリア後