PS VR専用タイトルとして2018年10月にリリースされ、様々な媒体で高評価を得ていた「ASTRO BOT:RESCUE MISSION 」。これまで、コンシューマ、PC問わず、色々なVRゲームタイトルがリリースされてきたが、VRの技術的課題や酔いの問題等から、なかなか真打と呼べるタイトルが出ていなかった。そんな中、VRゲームの文字通り「お手本」と言って過言ではないタイトルがこの「ASTRO BOT:RESCUE MISSION 」。ようやくプレイ出来たのでレビューする。
ゲーム史に残る名作
このゲームは、VRという新しいプラットフォーム上で、様々なクリエイターが試行錯誤、模索を繰り返し、それでもなお、VRならではと呼べるゲームが出せていない中で、1つの答えを出したと言えるほどの名作に仕上がってる。
これまでVRという特性から、ゲーム上の主人公とプレイヤーの目線が一体となったゲームデザインが多かった。いわゆるFPS視点、主観視点である。その結果、VR市場の拡大の障壁の1つとも言われる「VR酔い」が発生する形となり、ゲームのデザイン的にも、凝った作りのタイトルを作りづらいという問題があった。一方、この「ASTRO BOT:RESCUE MISSION 」に関しては、主人公の目線ではデザインされておらず、VR空間上にもう一つのキャラクターを登場させ、それを操作するような形にしている。まさにゲーム内でラジコンを操作する感覚だと思えばよいだろう。このデザインにしたことで、VR酔いが大幅に軽減されただけなく、自分の操作するキャラクターを見上げたり、見下ろしたり、画面を覗き込むというような、VRならではの体験を生むことに成功している。もし「VR酔い」が酷くて、VRゲームを諦めている人がいるならば、ぜひこのゲームだけは手に取ってほしいと願う。
ワクワクの止まらないアスレチック体験
ファミコンのスーパーマリオを初めてプレイした時に、誰もがゲームプレイを止めることが出来ないほど興奮したことであろう。この「ASTRO BOT:RESCUE MISSION 」は、まさに「21世紀版マリオ」と呼んでよいくらいに「楽しい」のである。早く次のステージが見たい。同時に、この体験が終わってほしくない。そんなワクワク感が終始続くゲームデザインになっている。
ゲームとしては、マリオのように、ワールド構成になっており、ステージクリア型。水のステージ、空のステージ等、環境バリエーションも豊富である。また、実際のコントローラと画面内のコントローラがリンクしており、水を放水したり、手裏剣を飛ばしたり、鍵フックを飛ばしたりとPSでおよそ考えうる「遊び」の限りを尽くしている。本当に開発者は、PS VRで出来ることとは何かを、考えに考え抜いたのだろうと言うことが分かる作品に仕上がっている。
個人的に、印象的だったのは、体が半分水面に浸かっており、首から上が水面に出ているようなシチュエーションがあるのだが、本当に水に溺れてしまいそうな臨場感があり、VRゲームの可能性を改めて感じることが出来た。
随所に散りばめられた遊びやすい工夫
非常にユーザーフレンドリに作れている点も好印象である。3D空間の操作になるとどうしても、遠近感がつかみづらいことがあり、ジャンプの着地ミスが起こったりするが、このゲームでは、キャラクターが、ジャンプ中に背中のタンクからジェット噴射させることで、ホバリングが可能になっている。実は、そのジェット噴射が、地面に対して真下に発射されているが、実はこれはキャラクタ着地点をユーザに示す役割も兼ねていたりする。チェックポイントが多く用意されている点も、ゲーム中のリプレイがやりやすくストレスが少ない。
まとめ
本作は、PS VRを持っているけど、やるべきゲームがなくて埃をかぶっているという方は、絶対にプレイすべきマストアイテムである。
プレイ時間:約12時間
プラットフォーム:PlayStation4 Pro + PSVR
レビュータイミング:クリア後